補助金申請支援、経営・IT課題解決支援

人事評価制度でできること①

「人手不足」や「働き方改革」「賃上げ」「最低賃金の引き上げ」といった人事・労務関連のトピックが近年の話題になっています。それに対して中小企業は、採用難、生産性向上、ITの活用、離職防止、賃上げなどの「人事労務の課題」に直面しています。経営者にとって直ぐに取り掛かること、じっくり時間をかけられることを見極め順序立てて手を打つことが必要になります。こと生産性向上であるなら従業員がやる気を出して業績を上げてくれることが理想ですが、なかなか思うように自律した行動はとってくれません。本記事では、従業員のモチベーションに関わる人事評価制度について紹介します。

  会社組織は、会社の歴史、経営者姿勢やそこで働く人によって風土や文化ができあがります。では、従業員がやる気を出して業績を上げる風土・文化はどのように作られるのでしょうか。人事評価制度には良きにしろ悪しきにしろ風土・文化を変える力があります。たとえば、成果主義人事制度では、業績を上げることができますが、ノルマ重視の社風になり個人主義になりやすい。また、期待役割人事制度では、個々の向き不向きに合わせてコースを設定しチーム重視の社風が作られるが仲良しクラブになりやすくなります。

  では、社長が従業員にとって働きやすい職場を作る人事評価制度を導入するぞと一念発起して役員や従業員に指示しても新規で導入する時や制度改革を行う時は、かなりの抵抗があるものです。まして、他社から持って来て明日からこの人事評価制度でお願いと言ったところで従業員の誰も受入れてくれません。筆者は、30代から社労士として人事コンサルに携わってきましたので、ちょうど同じぐらいの年代で社長に代替わりする友人が多くいました。その際に人事評価制度を導入したいとの依頼を受けることがあります。先代の社長についてきた従業員が自分についてきてくれるだろうかそんな心配の中、従業員をコントロールする手段として制度導入を考えるケースが多くあります。気持ちはすごくわかります。なぜなら、新社長に就任することは会社を引っ張っていかないといけないプレッシャーがあり、少しでも仕組みでカバーできたらと考えたのだと思います。筆者は、最初の頃、失敗しました。その気持ちにより沿い新社長と筆者だけで等級制度、評価制度、賃金制度と作っていくのですが、役員が察知して新社長に食ってかかるところまで行きました。その後は、しばらくの年月に亘り従業員に主導権を握られ先代が相談役の肩書で社長の役割を担いました。

  それからというもの筆者は、従業員の方々とプロジェクト方式で進めるのが基本スタイルとしています。

 次回は、プロジェクトを通して人事労務の課題を解決する方法を組み込んだ人事評価制度の進め方を紹介します。

ヒューリットMF 政岡英樹